なんで私が芸能人ッ!?





「んー?春はまだ来てないのか?」




打ち合わせが始まろうとして、監督がそう言った。
春って...主演の高瀬春さんだよね?
どんな人だろう.....まだかな?





「すいません‼︎前の撮影が長引いて遅れました。」




声と同時に、バンっと扉が開く。
急いだことがわかる様子で入ってきて、でもきれいな仕草で頭をさげた美人な人....って




「あっ‼︎」




美人さんの顔を見て、私はつい声をあげてしまった。




「お〜、春。いいから座って挨拶してくれ。」




春...?





「はいっ!この度主演を演じさせて頂くことになりました、高瀬春です。よろしくお願いします。」





やっぱり...私の憧れの、演技をするきっかけになったあの女優さんだ‼︎
今、主演って言ったよね⁈高瀬春さんがあの人だったんだ‼︎





「よーし、じゃあ始めるぞ〜って春どこ座ってるんだ‼︎」




「へっ⁈え、ここですけど...」




突っ込む監督と困惑してる春さん。




「そこはスタッフ用の席だろ‼︎出演者はこっち‼︎」




......うわぁ、春さんって天然だ。
だって、スタッフさんの席は端のほうにあってこっちにはちゃんと出演者って書いてある。
それに...





「す、すいません‼︎遅刻したから端っこに座った方が良いのかと思って...」





って、あたり前みたいに言う。





「はぁ...」




監督も呆れ気味で、周りもさすが春って笑ってる。
...でも、なんか可愛らしい人だなぁ。





予想外だったけど、こんなに早く憧れの女優さんと演技できるなんて楽しみ‼︎
それにあの春さんなら、完全に自分を消した演技をしてくれるはずだもんっ。









< 159 / 162 >

この作品をシェア

pagetop