なんで私が芸能人ッ!?
*****************りま、8才***********************************
眼鏡をつけはじめて約一年たった。
メガネのことは特に誰にも突っ込まれず、心は随分と楽になって休息を得た。
しかし、一日一日……毎日がとにかくつまらなかった。
同じ一日の繰り返し。
朝起きて一人でご飯を作って食べて学校に行き、学校が終われば家に帰って寝る。
この代わり映えの無い毎日のどこに楽しみを見いだせば良いのだろう。
小学二年生でこんなことを思ってるのはおかしいとは思っている。
実際、学校で全くといって良いほど言葉を発しない私に話しかけてくる人はいないから。
家にいたって話すのはお姉ちゃんだけだ。
つまらない。
それしか感じない自分が嫌。
気分転換につけたはずのドラマにも無関心だった。
なのに、ぼーっとしてた私の目に、ある女の人が映る。
なぜその人が目に入ったのかはわからない。
けど、よく周りと比べてみると明らかに違った。
その人以外は1つの体に、二つの心があったんだ。
1つの心は表に出ていて、役を演じているのだろうがすごく弱い。
後ろに見え隠れするもう1つの心の方が強くて、自分が本物だと言っている。
その強さ弱さも人それぞれ差があって、表が強い人もいたが、表がなくて本物の心を騙して演じる人すらいた。
そんななかで、その女の人だけは1つ……それも表だけしか無い。
いや、表だけしか見えなかった。
その目には強い光が宿っていて、周りのすべてを巻き込んで演じている。
この人は役を生きることで、自分を消すことができるんだ。
そう思った。
それから私は自分を消したかったし、逆に私なら自分を完璧に消せるんじゃないかと思って、演技に打ち込み始めた。
自分にも出来ることがあるかもしれない。
少なからず、そんな期待を持ちながら。