ポーカーフェイス
「悠翔」
「あー?」
にらめっこを続けていた尋翔が、顔を上げて言った。
「この後、なんかある?」
「さー?」
「監督に聞いて来い」
「あぁ?んどくせーなぁ…」
「いーから!」
尋翔は悠翔の背中をぐいぐいと押し、監督の前まで連れて行った。
めんどくせぇなぁ…。自分で聞けや。ったく。
とかなんとか愚痴りながらも、悠翔は監督に、この後も撮影を続けるのかと訊いた。
「あー。どうしよ…っかぁ…。乙津くんは?この後何か用でも?」
「あ、まぁ、はい」
「ん、そっかそっか…。じゃ、乙津くんは上がっていいよ。お疲れ」
「あ、はい。お疲れ様です」
素っ気ない監督の反応に、少しだけ目を丸くさせながら、悠翔は尋翔の元へ戻った。
「なんて?」
「お疲れーって」
「ん。じゃ、帰るか」
「おぅ」
短い会話を終えて、2人は局を後にした。