ポーカーフェイス
泣き止んだ尋翔と肩を並べて、悠翔は家路についた。
少し肌寒く、ポケットに手を突っ込む悠翔。
と、右手に何かが当たった。
「ん?」
取り出してみると、
「あ」
写真だった。
音乃と廉、そして牡丹の写真だった。
「なんだ、それ」
「あー。なんでもねぇ」
グシャッと握りつぶして、それをポケットに戻した。
あれ、牡丹、さん……。
って、誰だ?
牡丹、音乃、要次。
誰………だ。
「おい!どうした!」
「ぇ…あ…?わ、悪ぃ」
「大丈夫か?お前」
「目ぇ、真っ赤に腫れ上がった人間に心配されるなんて、俺も落ちぶれたか」
「あーーーーっっ!!るせぇ、るせぇ、るせぇ!!」
脳内でループする名前に悩んでいたら、横からヒョコッと顔を出した尋翔は、悠翔の顔を心配そうに見つめていた。
弟に心配されるなんて心外で、ひょっこり出した尋翔の頭を軽くはたいて、悠翔は軽口を叩いた。
こんなやり取りをやったのは、久しぶりで、なんだか懐かしい気さえした。
「お前の憎たらしさは、マジで折り紙つきなのな」
「まぁな」
「威張んな、バカ」
「るせぇや、バカ」
懐かしいんだ。この感じが。