大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「このまま入院してもらいます」

気が付き、先生の声が聞こえたが、

まだ目を開ける事は出来ない状態だった。


「先生、羽菜の具合は?」

心配そうな声色で、お父さんが先生に尋ねた。


「かなり貧血が酷いです。飲み薬だけではどうにもなりません。

貧血が落ち着くまでは、母子共々、危険な状態なんですから」

そう言って溜息をつく先生。


「3日後には結婚式が控えているのに」

少し震えた声でお母さんが呟いた。

…心配のあまり、涙声になっているようだった。


「結婚式なんて言語道断です。延期してください。

母子の命が最優先です」

先生は冷静にそう告げた。


「羽菜は大丈夫でしょうか?」

「…点滴で様子を見るしかありませんね・・・

クスリが効けば、体調も回復し、妊娠も順調に進むでしょう」


それだけ言った先生は、病室を出ていった。


…私の体調は、思った以上に深刻なようだ。
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