大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
「どうしたんだ、2人で来るなんて珍しい」

つい、ちょっと棘のある言葉を投げてしまう。


「多田さんとオレの意見が食い違ってるので、博さんに

話しを聞いてもらおうと思いまして‥‥施主さんがですね」

何やら、新たな事を施主から言われたようで、多田さんも、

岡田も、困っているようだった。


一通りの意見を聞き、俺なりの助言をする。

2人はそれに聞き入って、再び意見を言い合い、お昼を少し回った頃には、

解決したようだった。


「やっぱり、大工さんの意見は必要ですね」

改めてオレの存在を評価した岡田。


「いえは、大工さんが仕切るからうまくまとまりますね」

多田さんも同じように評価してくれた。


「それじゃあ俺、工務店に帰って、今後の事をまとめてまた持ってきます」

そう言って岡田は帰ろうとするが、突然踵を返し、オレの所に戻ってきた。


「何?まだ何か言い忘れ?」

オレの言葉に、何やら鞄をがさがさと漁った岡田は、弁当の包みをオレに差し出した。

…これは羽菜のモノで。聞かされていなかったら、

きっと眉間にしわを寄せていたに違いない代物だった。
< 88 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop