大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
いつも、私を孫でも扱うかのように、優しいおばあちゃんに、

私は胸が一杯になって、ドバっと涙が溢れた。

・・・さっきの博さんの態度が、とても寂しく感じられ、

私の事なんて、どうでもいいんじゃないかって思うと、

胸が痛んでいたたまれなかった。



「そうかいそうかい・・・辛い思いをしたんだね。

ババの可愛い羽菜ちゃんを傷つけるのはよくない人だ」


「グス・・・でも、博さんは本当は優しくて、素敵な人なんです」

涙を拭いながらそう訴えかけると、おばあちゃんは、フフッと笑った。



「好きな人がいると、色んな感情が芽生えて大変だね・・・

でも、好きな人を想うと、幸せな気持ちにもなるんだから、

やっぱり恋はしないとねぇ・・・いつかはその人と一緒になれるといいね」


そう言ってくれたおばあちゃんに、涙目のまま何度も頷いた。


・・・仕事をしに来たのか、はたまた、恋の相談に来たのか?


おばあちゃんは、本当に私のおばあちゃんのような存在で、

仕事も忘れてしまいそうになる。


「…長居してすみませんでした」

「いえいえ、またいつでも来て。何でも聞いてあげるから」

「はい、それじゃあ」

私は三浦のおばあちゃんの家を出て、またあの現場の前を通って

帰る事になった。

…現場には、まだ明かりが灯っていた。
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