コーラとポップコーン


顔だけをテレビに向けて、始まった番組を適当に見ていると、コマーシャルに入った。



コマーシャルに入った事だし、晩ごはんでも食べますか。



そう思って怠い身体を気合いで何とか起き上がらせると、キッチンへと向かって歩を進める。


その時、軽快な音楽で始まったコマーシャルに思わず目を奪われた。



『世界中が涙した!感動の超大作!ついに、明日公開!』



言っている事は映画のコマーシャルにはよくある台詞だが、それよりなにより、その映像に目が奪われた。


深緑色の少し薄暗い森の中に佇む古ぼけた一軒家。その家から儚げな表情の少女が裸足で出てくるその映像が頭に残って離れない。



これっ!明日はこれ観に行こう!



そう思ったら、直ぐによく行く近くの映画館で上映されるかどうかと上映時間を確認する為に、床に放り投げていた鞄からスマホを取り出した。



ああ、明日はなかなか良い一日になりそうだ。







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「うぅーん」


カーテンの隙間から差し込む太陽の光が目に入り起きると、ベッドの上で上半身だけを起こして両手を上げ伸びをする。


朝だ。どうやら、天気も良いらしい。


本当に今日は良い一日になる気がする。


「よいしょっ」と掛け声を掛けてベッドから降りる私は、若さが確実に減ってきているのだろう。


ベッドから降りる時にこの掛け声を掛け出したのはいつからだっだろう。


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