鳥籠の死神
朝も夜もわからない深く深く暗い地下の奥、王宮専属の魔術師が魔力で創った鳥籠の中で。



死神は無言のままただ静かに、時が過ぎ去るのを待っていました。



死神は人の生きる世界の片隅で、生きる事すら赦されませんでした。



死神は人間に害をなすものとして恐れられていました。しかしそれが、真実かどうかなんて、王にとってはどうでもいいこと。魔術師に命じて捕らえさせた王は満足と安心感を得たのでした。


これでもう、死神に恐れる必要はありません。



そして見張り役として、念願の騎士となった一人の青年が選ばれたのです。



騎士は初めて大役を任されて、はりきっていました。



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