ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
それから少しして、恵里奈を自宅近くまで送り届ける。
一晩一緒にいたからか、なんだか寂しい気がする。
今まで付き合ってきた女に、そんな気持ち抱いたことなんてあっただろうか。
自分の変わり様に、ハンドルを握りながら苦笑いを浮かべた。
午後4時半。
ピークの時間を過ぎて、やっと外の行列がなくなった。
「どうしたの?元気ないじゃない」
そう言って、ハルが肘で俺の脇腹を突いてきた。
「別に普通だけど?」
元気がないわけじゃない。
少し恵里奈のことが気になるだけだ。
あんな風に隠し事されるのは初めてだし。
「そう?てっきり恵里奈ちゃんと喧嘩でもしたのかと思った」
「喧嘩なんかするかよ。ただ…」
ヤバイ、口が滑った。
そう気付いて口を噤んだ時にはもう遅くて。
「ただ?」と、面白いと言わんばかりにハルはニヤッと笑った。
「お姉様に話してご覧なさい?」
「誰がお姉様だ」
「剛よりも女心はわかるつもりよ」