ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「まぁ!あなた、確かうちに来てくれたことない?」
俺とハルは他人の顔を覚えるのが早い。
接客業を長年やっているせいだろう。
常連客の顔などを覚えておくと、接客サービスの幅が広がって、よりよいサービスが提供出来る。
「はい。何度か食べに来てます!ここのパンケーキが大好きで!まさかそのパティシエと恵里奈が、こうなるとは思わなかったですけどね」
「私もよ!まさか剛がこんな可愛くて純粋そうな女の子を捕まえるとはね。しかも、まさか高校せーー」
「おい!ハル!」
どんどん声が大きくなるハルを止める。
他の客が好奇な目で見てるっつーの。
さすがに、高校生っていうワードは店の中だとまずい気がした。
「ふたりとも、カウンターにどうぞ」
今日のフロアー担当の柚姫ちゃんが二人を誘導する。
しかも、ご丁寧に俺の目の前の席に。
ここに来て、初めて俺と目を合わせた恵里奈は再び気まずそうに笑う。