ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「並木さん。お久しぶりです。文化祭の
時はありがとうございました」
俺と恵里奈の間に漂う微妙な空気を裂くように、田村が声を掛けてきた。
「どうも」
「それと、うちの恵里奈がお世話になってるようで」
“うちの”を強調してニコリとする辺り、挑発的に感じたのは俺だけじゃないはず。
恵里奈は、目を見張って隣りの田村に目を向けた。
「今日は恵里奈に頼んで遊びに来ました。並木さんには内緒で」
内緒で?
ああ、そうか。
恵里奈はこのことを必死に隠してたんだな。
恵里奈をちらっと見ると、俺と視線があった瞬間俯いてしまった。
こいつの性格なら、隠してたことに対して罪悪感とか感じるんだろうな。
「恵里奈の親友として、並木さんに聞きたいことがあります」
「聞きたいこと?」
「恵里奈のこと、本気ですか?」
そう言って、瞬きもせずにまっすぐと俺の目を見据えてくる田村。
恵里奈が「ちょっと瀬奈っ!」と慌てて割り込むと、田村は「恵里奈は黙ってて!」と制した。