人見知りのキリスト
第十章 報い
何百年かに一度、天空に姿を現すと言われる彗星を今か今かと待ち望む熱烈な天文ファンのように、俺は鏡を凝視し続けた。


一体、どれぐらいそうしていただろうか。


期待とは裏腹にキリストの顔から火傷痕の消える様子は全くなかった。


デスクに積まれた書きかけの原稿や資料もそのまま、頭の中にも忌まわしい締切日がきちんとインプットされている。


少年の人生を変えてやることなど、結局できなかった……。
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