キスまでの距離
unison
俺、千葉裕作は、ほめられるのが苦手だ。けれども、ここ最近、ちょくちょくほめられる。
成績のこと、楽器のこと、後輩への気遣いのこと。
当たり前の中身が変わったことは自覚している。でも、今まで理解できていなかったことが分かって、うまく立ち回れるようになっただけだ。ほめられるようなことをした覚えはない。
「いやー、ほれぼれするような音が出るようになったよな。」
特に、こいつ、金沢先生にほめられるのが苦手だ。
「ふっつーに練習してりゃ、出るんじゃねーの?」
「いやー、1年の時はひどかったからなー。」
いやな過去や、少し目を向けないようにしている現実を、こいつはチクチク突いてくる。
「勉強もできねーし、音も出ないし、練習してるのにうまくならねーし…」
「うるせーよ。」
成績のこと、楽器のこと、後輩への気遣いのこと。
当たり前の中身が変わったことは自覚している。でも、今まで理解できていなかったことが分かって、うまく立ち回れるようになっただけだ。ほめられるようなことをした覚えはない。
「いやー、ほれぼれするような音が出るようになったよな。」
特に、こいつ、金沢先生にほめられるのが苦手だ。
「ふっつーに練習してりゃ、出るんじゃねーの?」
「いやー、1年の時はひどかったからなー。」
いやな過去や、少し目を向けないようにしている現実を、こいつはチクチク突いてくる。
「勉強もできねーし、音も出ないし、練習してるのにうまくならねーし…」
「うるせーよ。」