キスまでの距離
「そう言えば、週末、初給料?」
「はい!」

彼女は嬉しそうに、ニコニコしながら、発泡酒を取った。

「初任給の日は、ビールにします。」
「そっか。」

なんだか小さい幸せの様子が、初々しくて、ちょっとだけ反省したい気分になった。

レジで会計を済ませて、買ったものを袋に積めて、店を出た。

「じゃ、また明日。」

店の出口で、お互いの車の方に行く前に、そう声をかけた。

「お疲れ様でした。また明日。」

軽く頭を下げて、自分の車の方に向かう谷川先生を見て、ふと思い付いた。
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