キスまでの距離
明け方の夢
その先の言葉を、その時の空気を、その時の彼女の顔を、俺はたぶん、一生忘れないだろう。

「正樹といると、私、ダメになるような気がするの。」

ハッとして目が覚めた。

見上げた天井から、まだかなり早い時間であることを、あの日から大分経っている現実を知る。

あの言葉のやり取りを最後に、かえでとは別れた。もう、7年も前の話だ。それでも未だに、あの時の夢を見る。

理由は何となく分かる。心の迷いや抱えているものがあると見ることが多い。

ここ1年は見ていなかったけれども。

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