ラヴコリーダ
「水原さん、その書類なら来月中に出してくれればいいですから」

部長がわたしのところに歩み寄る。

飛んで火にいる夏の虫とはよく言ったけど…!

わたしは今だとデスクのうえにあるそれ――ペットボトルのミネラルウォーターをつかんだ。

「そろそろキリのいいところで終わって…」

わたしは椅子から立ちあがるのと同時に、ペットボトルのふたを外した。

外したペットボトルを持って、部長の方に向かって勢いよく振り返った。

バシャッ!

ペットボトルのミネラルウォーターが半分になった。

それをかぶった部長は見事、頭からずぶ濡れになっていた。
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