ラヴコリーダ
それから部長はわたしの顔を覗き込んで、
「耳だけで、そんなに気持ちよかったか?」

ニヤリと意地悪に笑って、舌なめずり。

唇をなめたその赤い舌が、さっきまで自分の耳を攻めていたのかと思うと…心臓がドキッと大きな音を立てて鳴ったような気がした。

「あの、部長…」

「名前だって言っただろ?」

言いかけたわたしをさえぎるように、部長が言った。

「それとも、お仕置き希望か?」

「――ッ…」

お仕置きの意味がよくわからないけど、部長の言うことは絶対だ。

「――秀俊…さん」

「呼び捨てがよかったが…まあ、名前を呼んでくれただけでも合格としよう。

何だ?」
< 24 / 73 >

この作品をシェア

pagetop