ラヴコリーダ
確かに、いつもヘラヘラニコニコと笑っているのはよくないとわたしも思う。

見る人に寄っては、それがうさんくさいなんて言う人もいる訳だ。

部長の無愛想のおかげで契約も取れているのは事実…だけど、それは元から部長が仕事ができるからだと言う話である。

せっかく仕事ができるんだから、ちょっとくらい笑顔を見せればいいのに。

そう思った時だった。

ポツリ…と、頭に冷たいものが当たった。

「えっ?」

上に視線を向けると、さっきまであった青空はどこへやら、空は黒い雲で埋め尽くされていた。

ポツリ、ポツリ…と、黒い雲から何かが降ってくる。

「雨だ」

部長が気づいたと言うように言ったとたん、それは一気に降り出した。

「ヤだ!」

突然降り出した雨から身を守るため、わたしは頭のうえに持っていたカバンを乗せた。
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