ラヴコリーダ
部長は振り返ってわたしを見ると、
「“秀俊”だって、この間教えたはずだろ?」

そう言った後、ドS意地悪の笑顔を浮かべた。

「あれほど言ったのに忘れたのか?

それとも…」

部長はわたしの躰を自分の方へ引き寄せて、
「お仕置き希望、か?」

「…ッ」

キスしそうなくらいの間近な距離で言われて、心臓がドキッと鳴る。

「お前、俺が間に入ってこなかったら、今頃は上川に食われてたところだったぞ?」

「えっ…」

「あいつの女好きは会社では有名なんだよ。

知らなかったのか?」

そう言った部長に、
「知りませんでした…」

わたしは首を横に振って答えた。
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