甘く響く
応接間や晩餐室と比べると少し狭い
それでも大きな部屋へ通されて
座り心地のいいソファーに腰を沈めた

外がだんだんと騒がしくなる
ドアの方を見るとゼルがコーヒーを出しながらレイを見つめた

「大丈夫、入ってこれません。」

そう言ってレイの後ろに立つ
そして後ろから
例の首へ手を回してきた

ゼルの顔がぐっと近づく
耳元にゼルの息が当たる

「あなたはやっぱり、男をおかしくする何かを持っているようですね」

首元に軽く音を立てて吸い付かれて
レイは息を飲んだ

「ひゃッ…ゼル…さんッ」

ゼルの回された腕を掴んでみても
力の差でまったく動かない

「外に聞こえてしまいますよ?」

耳元で囁かれて
ゼルの腕を掴んでいた手を離して口を押さえた

ふっ、と息が首元にかかって
ゆっくり解放されていく

力が入らなくてぼーっとしていたら
楽しそうに微笑むゼルが目に入った


「失礼。他の人といちゃついてるのを見せつけられて少々気が立ってしまいました」

少し高圧的な言い方に
心臓がきゅっと苦しくなった


その時小さな音でドアがノックされた

ゼルが返事するとドアがゆっくり開いて
ジーンとアルが入ってきた


「レイ、お母さん決めた!」

入ってくるなりそう大きな声で言って
レイの横へ座る

「あなた、ここでお世話になりなさい!」


ジーンの言葉に
あまりに驚いて口を閉じるのを忘れた
困惑しすぎて言葉が出ない

「え、ちょ、何で?」

「アルさんがね、レイが居ればリンリンが咲くって言うの。あなた花の勉強したいって言ってたし、ここなら自由にできるわ。…でももしこの話を断るなら…」

急に声のトーンが低くなり、ジーンがレイの目をじっと見つめる

「うちの裏のお家の次男坊と今すぐ結婚しなさい!」

びしーっと指を立てられて
レイは笑うしかできなかった

裏のお家の次男坊って
ジーンの方が年が近いんじゃないだろうか


レイは項垂れた
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