2人のユウト




 そして私が卒業して、おばさんは仕事に復帰した。


 お母さんは、多分、それを知らない。


 まだおばさんが仕事を休んでいると思っている。


 おばさんとは関わりのないお父さんも、そう。








 私はパソコンを起動し、小説投稿サイトを立ち上げた。



 最初はゆっくり、徐々にパソコンのキーボードを打つ速度を上げて行く。






 主人公が、初めてデートした話。


 主人公の女の子の、純粋で素直な恋心を書いた。


 今の、私みたいに。


 私は主人公みたいに素直で純粋じゃないけど。



 少し私の気持ちに似ているかも。





 明日は水門くんとのデートだ。


 今のうちに洋服を用意しておこう。



 朝決めると、大慌てで家を出て行くことになるから。



 数少ない友達と出掛ける時、いつも大慌てで。


 遅れることも多く。





 あまりにも遅いから、絶交されたことも、ある。


 そんな苦い思い出があるから。


 私は開いたばかりのパソコンを閉じ、急いで洋服の閉まってあるタンスを開けまくり、



 明日着て行く洋服を選んだ。







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