2人のユウト
「もう、美夏お嬢様を優斗様に近づけさせないでくれますか?」
え?
「ちょっと椎葉?
何言っているのよ!」
「お嬢様、お判りください。
優斗様は、舞原から縁を切られた存在。
舞原とはなんの関係もないのです。
ですから、お嬢様と会わせることは出来ません。
お嬢様は舞原財閥の跡取り。
ご自分のことと、財閥のことのみお考えください」
「で、でも、美夏と水門くんは実の兄妹ですよ?
それなのに会わせないなんて・・・」
「これだからあなた方一般人は困ります。
お嬢様はあなたのような一般人のような生活は出来ないのです。
財閥の今後や、社員の未来を考えなくてはいけません。
我々もお嬢様のご両親もそうお考えです。
ですから、優斗様がお嬢様のお兄様だからと言って、軽々と会わせることは出来ないのです。
舞原と関係ない人物と会えばどうなるか、お嬢様もお分かりです。
幸菜様も、お嬢様をそそのかすことはおやめください」
有無を言わせない口調だ。
私は何も言えなくなってしまった。
「では行きましょうかお嬢様。
4時から舞原財閥の今後を話し合う、大切な会議があります。
跡取りであるお嬢様には必ずしも出席しなければなりません」
「はい・・・。
じゃあね、幸菜」
寂しそうに笑った美夏は、静かに椎葉さんと校門を出て行く。