君との距離、2歩分。



私は出るに出られず、玄関の前で立ち尽くしていた。


……何、勝手に決めてんのー!?


お父さんとお母さんのバカ!!


恥ずかしくなった私は静かに息を潜めて、存在を消した。


……本当はぶっちゃけ、嬉しいけど…っ!


でも私だけ嬉しくても意味ないもん…


私と同じで七世も嬉しいって思ってくれるとは限らないんだし。



―…でも、少しだけ。


私の心は七世の気持ちに期待してる。


『いいですよ』って頷いてくれるのを心のどこかで待ってる。



「……あの…オレ……」


「お父さん!七世くんにだって好きな子ぐらいいるんだから!押し付けるのはだめだよ。」


調子に乗るお父さんを怒るお母さんの声。


「…え、七世好きな子いるのー!?」


今度は七世ママの声が部屋に響いた。



「は////!?うるせぇよババア!!近所迷惑だっつーの!」


聞こえてきたのは、七世の上ずった声。


七世がこの声を出すのは照れてたり、緊張してるとき限定。


…見なくてもわかる。


七世は絶対、図星を突かれて真っ赤になってるんだ……




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