ぽんぽんぼん
「梶木君の匂いが私をそうさせているのです!」
「そういう変態発言を自信満々に言わないでくれる」
「変態じゃないってば!普通!」
彼の発言に突っ込む私に向けて吐かれる盛大な溜め息。
「今のこの状況の何処をどうやって普通って言えるのか、森山さんの頭の中を覗いてみたいよ」
頭の中って……、
「私の頭の中は梶木君の匂いを嗅ぎたいという事しかないと思うよ。覗いて見る?」
その事以外を考えている時間は限りなく少ない。
それは断言出来る。
のだが、馬鹿にした様にフッと鼻で笑う彼。
「やっぱり覗かない」
覗かないのっ!
覗いてみたいって言ったのは、梶木君ですが!
「な、何でですかい!?私ならウェルカムですよ!」
興奮気味にそう告げると、「あー、だって」と言った後に、
「森山さんが死ぬのは見たくないしね」
と言葉を紡ぐ。
その言葉は明らかに私に宛てたものなのに、目線は私に向いておらず、私の後ろの先にある窓へ向いている。
いや、窓の外かもしれない。
どこか切なさを纏う雰囲気の彼の顔。
そんな梶木君に一瞬魅いってしまったが、直ぐに梶木君の不思議な言葉へと意識が切り替わる。
ん?ん?ん?
「えっ!?な、何で私が死ぬ事に!?」
「森山さんが死なないと、脳を見れないでしょ?」
そこですかっ!
私の方へと目が向いたと思ったら恐ろしい事をさらっと言う。