私が恋した男(旧題:ナツコイ~海男と都会男~)
 私はマウスを動かしてメールソフトの画面の中に映し出された受信Boxをクリックすると、そこには複数の未読メッセージがある。

 一つ一つメッセージを開封して中身を確認してから返信を行い、雑誌の発行に関するスケジュールの変更があればスケジュールソフトにも反映しなければいけないので、この作業はとても時間がかかるけれど取りこぼしが無いようにする。

「○○会社への取材時間が変更ということは次の取材先にも連絡して―…、先ずはこの変更でお願いしてみよう」

 私はキーボードを打ちながらスケジュール時間の調整を考えていると、後ろから声をかけられた。

「九条、先月号の感想アンケートがきたよ」
「水瀬編集長、ありがとうございます」

 私はキーボードを打つ手を止めて後ろに振り向くと、そこには雑誌『Clover(クローバー)』の水瀬編集長が用紙を手にしながら立っていた。

 感想アンケートは毎号巻末に挟んであり、読者が葉書にアンケートを記入し郵送してもらう。

 この感想アンケートの結果によって雑誌『Clover(クローバー)』の中身を更によくしていくので、毎回どんな感想が来るのかとてもドキドキしちゃうのだ。

 数ヶ月前の感想アンケートではかなり厳しい評価を受け、水瀬編集長からは膨大な数の企画書を作成する宿題を言い渡されたっけ。

 私は水瀬編集長から用紙を受け取り、感想アンケートの結果に目を通す。

「結構厳しい…」

 感想アンケートの結果には、読者からの厳しい意見が書かれている。

 やはり流行を追いかけるばかりじゃなくて読者の生活スタイルをきちんと把握し、それに合わせたコーディネートを提案せねばいけないと痛感した。
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