私が恋した男〜海男と都会男~
 宇ノ島駅から歩くこと数分、路地裏がある場所にたどり着いたのでいざ踏み入れてみると、喧騒だった雰囲気から一変して静寂に包まれた雰囲気を感じるし、民宿や建物の幅は狭いけれど雑貨や料理のお店があったりと、昔ながらの雰囲気があっていいなぁ。

 お店の外観は許可を取ってからだと姫川編集長の教えを守りながら、デジカメで路地裏の風景を撮影しながら歩いてると大通りに出た。

 この辺りはどこだろう?とパンフレットを広げて地図を見ると、浜辺からは大分離れちゃったみたい。

 それに歩きすぎたせいなのかお腹が空腹になっていて、美味しいご飯でも食べようかな?確かパンフレットの地図をみたら漁港も近いし、新鮮な魚介類とかありそうだもん。

 私は観光案内所で貰ったパンフレットを片手に漁港に向かって歩いていくと防波堤がある海岸通りに出て、海には漁に使われる船や水上バイクや木で出来た船がプカプカと浮かんでいるスペースがあって、道路を挟んで歩道に歩いてみると干物を販売するお店が何軒も続いていて、さらに磯の香りが鼻をくすぐる。

「何処のお店でご飯食べようかなぁ」

 私はきょろきょろしながらお店を探すと、団扇を片手にお店の前に立っている老人の男性と目が合った。

「おんやまぁ、美味しいご飯ならここがいいから寄ってて。獲れたての魚は都会じゃ食べれんし、ほら、船が戻ってきたっと」
「は、はぁ…」

 老人の男性が団扇で海の方を指したので私も同じ方をみたら、確かに船が此方に向かってくるのがわかる。

「あの船で獲れた魚を食べれるんですか?」
「そっ。ササハラんとこの船で獲れた魚は、どこよりも美味いよ。おーいっ」

 老人の男性は歩道から道路を渡って防波堤の上に登ると船に向かって手を振っているので、どんな人が漁船に乗っているのかな?

 私も老人の隣に立って船を見ると数人の男性が網を片付けていて、あれが漁師…だよね?みんな頭にハチマキ巻いていて、まさに海の男!って感じ。

「あっ、帽子がっ!!」
「お嬢ちゃ――…」

 すると急に海風に吹かれて帽子が飛んでしまい、お気に入りの帽子だから取らなくちゃ!と腕を伸ばした瞬間にバランスを崩し、老人の男性の声がそこで途切れた。
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