俺の妹が可愛すぎて。


ダブルデートと訊いていたのに。


「ねぇ、松丘くん。ユキちゃん達に電話してみようか?」


いつの間にかユキちゃん達とはぐれてしまって、松丘くんと2人で園内をグルグル回っていた。


「い…いや、2人にさっき電話してんだけど繋がらないんだよな。意外にユキと透子、2人で楽しんでたりして〜」


松丘くんはそう言うとニッコリ笑う。


松丘くんには悪いけどダブルデートっていうから来たのになぁと思い、さっき松丘くんが言った言葉になんとなく胸が痛くなる。


『意外にユキと透子、2人で楽しんでたりして〜』


松丘くんが言うみたいに、本当に2人で楽しんでいるのかな……


そんな風になんだか切なく感じているあたしに、松丘くんは何かを察したらしい。


「………優花ちゃん。俺と二人じゃ…嫌?」


さっきまで元気だった松丘くんが少し寂しそうに感じた。

そんなにも表情に出てしまっていたのかなと思うと悪いなと感じてしまう。


「ううん、そんなことないよ」


そう笑顔で言うと、松丘くんも「よかった」って笑ってくれた。


「まぁ、とりあえずユキ達探しながら、園内散策しよっか?」

「うん」


そう松丘くんが歩き出したから、あたしもあとを追う。


日曜日の遊園地は、カップルや家族連れで溢れていて、ユキちゃん達を見つけるのは容易ではなかった。


「……いないね。どっかでお昼ご飯とか食べてるのかな〜?」


そう言いながらキョロキョロしていたら、松丘くんは止まっていたらしく、あたしはドンッと松丘くんの背中にぶつかってしまった。


ぶつかって不意に鼻を掠めた松丘くんの匂い。

彼とは違う、香水のキツイ匂い。


触れた肌の感触も違う。


同じ男の子でも、やっぱり違うんだ。










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