俺の妹が可愛すぎて。


「風馬ー、おまたせ〜♪」


混雑した駅の改札口。


でっかい広告の看板が掲げられた柱にもたれて、携帯をいじっていたら俺を呼ぶ声が聞こえて顔をあげて、すぐそいつを見つける。


今日は俺の家の近所の神社で夏祭りがあるらしく、でっかい有名な神社のせいもあって、遠くからも人が大勢やってくるらしい。

それで、もちろん駅前もこうして混んでるわけで……

こんな人混みん中ですぐこいつを見つけられる俺って我ながらすげぇー…。


「……おっせぇよ、バカ」


こいつに冷たいのはいつものこと。


「……ごめ〜ん。だって、準備に時間かかっちゃったんだもん。……見て見て♪似合う〜?」


麻依はそう言うと、両手を広げ、俺の前でクルンと身体を回す。

麻依が着ているのは、薄いピンクの花があしらわれた浴衣。

それはもう、麻依見つけた時点で思ってた。

…めっちゃくちゃ、可愛い…って。

でも、もちろんこの俺が素直に言えるわけなんてない。


「………まぁまぁ」

「……もうっ!ちゃんと言ってよー!」


その場で足をバタバタしながら、麻依のほっぺがフグみたいにプクッと膨れる。


拗ねる麻依も可愛くて面白い。


「………いいんじゃね?」


可愛さに負けて、そう言うと麻依はニコッと笑って「よかった♪」って俺の腕をギュッと掴む。


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