俺の妹が可愛すぎて。



「……それは一番、ユキがよくわかってる」

「……え…?」

「……ユキに直接訊いてみたら?」


そう笑って言った透子ちゃんは、しゃがみ込んでいたあたしの前に座る。


あたしは笑えなくて、下を向いた。



透子ちゃんと別れた原因は、もしかしたら……

……ユキちゃんは家を出るつもりなんじゃないかって思ったから。



「………栗原さん…ごめんなさい…。

……あなたを傷つけてしまうこと、たくさん言ってしまった」


優しく笑って、でも少しだけ目を潤ませた透子ちゃんにつられて、あたしまで涙が出てくる。


透子ちゃんの言葉に、あたしは首を横に振った。


「……あたしだって……透子ちゃんを傷つけた……あたしのほうが謝らなきゃいけない……ごめんね、透子ちゃん…」


そう言うと、透子ちゃんも首を横に振る。


「……さぁ。…もう、ユキには彼女もいないんだし……自分の気持ちに…ユキに打ち明けたら…?」

「………」

「……まだ、悩んでるの?……ユキを守りたいって言ったのは、栗原さんでしょ?」


俯いたまま、あたしは透子ちゃんの言葉に小さく俯いた。



『……俺が、いなくなったら……』



ユキちゃんはもしかしたら……


家を出て、ユキちゃんのパパと暮らすことを考えているのかもしれない。


……ユキちゃんはそれでいいの?



……実里ママはどうするの?



風馬だって、パパだって……


ユキちゃんがいなくなったら、悲しむんだよ………



あたしだって……



もう……ユキちゃんがいないとか、考えられない。



自分の気持ちを言わなければならない。



ユキちゃんに……正直に……



あたしには、ユキちゃんが必要だって…。








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