俺の妹が可愛すぎて。


「……ごめん。

本当に、悪気があって透子に話さなかったわけじゃないんだ。

そんなに早く透子に話さなきゃいけないことでもないと思ったし、いずれわかることだから、その時、話せばいいって思ってたから…。

ごめん、そのことで透子に悲しい思いさせて…。

そりゃ嫌だよな、晴が知ってて透子が知らなかったって…気分わりぃよな。ごめん…。」


俺はそう言って、泣いてる透子の頭をそっと撫でた。

透子の髪は、腰辺りまで伸びた真っ黒なサラサラのストレートヘアー。
今は部活動中の為、それを後ろでひとつで束ねていた。


「……ユキ、ズルいよ。

そんなことされたら、許しちゃうじゃん。」

「えっ…あ、ごめん。」


上目遣いで、恨めしく俺を見た透子に、俺は頭を撫でていた手を慌てて引っ込めた。

少しだけ透子の頬が赤らめているように見えた。

大人っぽい透子だから、きっと子供扱いみたいなことされたのが嫌だったのだろうか。


「いいよ、もう許す。私も急に飛び出してごめん。」


そう言って立ち上がった透子に、俺は首に引っ掛けていたタオルを渡した。

透子は、それを見てキョトンとしてる。


「……涙拭いたら?…その顔で戻ったら、みんな何事かと思うじゃん。ごめん、さっき俺が汗拭いちゃったタオルだけど。」


そう言ってタオルを渡すと、透子はふふっと笑いながらそれを受け取る。


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