俺の妹が可愛すぎて。


今日の優花は、初めに会った頃とも二度目に会った時とも違う髪型。

引っ越し作業の為か、長い髪を耳当たりで二つに結んでいた。

栗色のくるんとなった毛先が、優花のふんわりした雰囲気に合ってる。

下ろした髪型しか見たことない俺にとって、なんだか新鮮。


「疲れちゃったね。まだまだ荷物あるけど。」

「だなー。母さん荷物多過ぎなんだよ、服やらカバンやら靴やら…何箱あるんだろ。」

「………


ユキちゃん……この前はありがとう。」


しばらく間があいたなと思ったら、優花が静かに呟くように言った。


「え、あ、ううん。もう、大丈夫?」

「うん。もう…付け回されてない。
……ユキちゃんの『俺のだけど。』が効いたのかな?」

「え、あぁ…。ごめん、勝手に口走っちゃった。」


今、改めて思い出して少し大胆なことをしてしまったかと思い、急に恥ずかしくなる。

急にムズ痒くなる思いを、頭をガシガシ掻いて誤魔化す。


「ううん。…すっごく嬉しかったよ。ありがとう。」


そういつもみたいな笑顔で笑うから、俺は仕返しで飲みかけの缶コーヒーを優花のほっぺに押し当てる。


「ひゃあ!冷たい!」

「はは(笑)さっきの仕返し(笑)」

「もう、ユキちゃんのイジワル。」


そう言ってちょっと拗ねた優花を見て、俺は笑った。


笑顔も、泣き顔も、

そして、ちょっと拗ねた顔も……

メールの文章が絵文字で可愛くするとことか……

いろんな優花を知っていくたびに、もっといろんな優花を知りたいと思うこの気持ちはなんなんだろう。






< 36 / 315 >

この作品をシェア

pagetop