あなたが作るおいしいごはん【完】

***

食事を済ませ

シンクでタッパーを洗っていた時


……コンコン


事務所のドアをノックする音がした。

応対した田宮さんの

『…ミレイちゃん、どうしたの?
先生ならまだ教室だよ。』

と、話すその声に

私は水を止めて振り向いた。

『…あっ、いいんです、お義兄さん。
今日は押谷君に借りてた
タッパー返しに来ただけだから。

…“おかげさまで
この間の煮物美味しく出来ました。”
って伝言だけお願い出来ますか?』

田宮さんを

『お義兄さん』と呼んだその女性は

私の存在に気づいたのか

にこやかに微笑んで軽く会釈をすると

『…じゃあ、お義兄さん
姉をお願いします。
“手伝いに行ける日は顔出すから
無茶しないでね。”って
伝えて下さい。』

と、田宮さんに手を振った後

私にももう一度会釈をして

女性は背を向けてサッと帰っていった。



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