あなたが作るおいしいごはん【完】

***

彼は医師から説明された症状を

私に話してくれた。

『…あの男…薮嶋恭平から
極度に与えられた
ストレスとショックが原因で
全身が緊張状態に陥っていたところを
俺達が駆けつけて
それが解放された事で
萌絵の身体が
急な眩暈を起こしたんじゃないかって。

あと…さっきも言ったけど、
あの男に強引に肩を掴まれた事で
皮膚が鬱血していた。

萌絵が顔を顰めてたし
あの男も萌絵の肩を掴んで
壁にぶつけたと認めたから
今、点滴されてるのは鎮痛剤だ。
まだ暫く右腕は動かせないからね。』

そう言って説明を済ませた彼は

『…ごめんな…萌絵。
助けに行くのが遅くなって…。
怖い目に遭わされたな…。』

と、私に謝罪を呟くと

『…まだもう少し痛いかもしれないけど
点滴でだいぶん楽になるらしいって
医師は言ってた。

大事をとって
今日はこのまま入院になるけど
大きな痛みが出なければ
明日の午後には退院してもいいらしい。

……俺も後で一旦荷物取りに戻るけど
今日はここに泊まるし
一人にさせないし…そばにいるから。

…だから、安心して休むといい。』

そう言って

私の左の頬を撫でてくれた。




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