あなたが作るおいしいごはん【完】

***

まだ昼間だけど

カーテンで光を閉ざした

微かに暗い彼の部屋兼寝室で

彼が普段眠っているベッドの中で


「……はぁっ……んっ。」


私は彼から与えられている愛に

身を委ねていた。


『…萌絵。』

彼に何度も名前を呼ばれて

指と指が何度も絡み合い

彼の繊細で優しい手が頬だけでなく

私の全身に触れて

彼の吐息が首筋や肩にかかると

我慢出来なくなった私の口から

何度も声が漏れた。


『…初めてキッチンスタジオで
生徒を指導した当時の緊張感や
収録や撮影の時に味わう緊張感以上に
今、凄く緊張してる…。』

彼は私の手のひらを

自分の胸に押し当てると

『…ほら、俺の胸
いい年して恥ずかしいけど
今、凄くドキドキしてるだろ?』

そう苦笑いを浮かべた後

すぐに私を熱く見下ろした彼は


『…萌絵の綺麗な素肌に
こうして触れたかった…。

また一つ夢を叶える事が出来たのに
何だかまだ夢を見ているみたいだ…。』


そう言いながら

さっきまで触れていた私の手を

ゆっくりと外して

そっとキスを落とした後

『…愛してる。』と囁きながら

私の唇に再びキスを落とした。












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