あなたが作るおいしいごはん【完】

彼と初めて一つになった瞬間

「……あっ……うっ………くっ。」

初めて感じる痛みに

彼にぎゅっとしがみついて

その美しい背中に

無意識に爪を立ててしまったけど

『………幸せだ。』

と呟いて涙を滲ませた彼の顔を見た時

想いが通じ合った喜びを改めて実感した。


快感に身を委ねる中で

彼は何度も私の鬱血した両肩に

たくさんのキスを落とした。


ビクンと反応してしまう私に


『…大丈夫だよ。』と

優しく励ますように…。


『…萌絵…綺麗だよ。』と

優しく愛おしそうに…。


『…何もかも愛してるよ。』と

優しく包み込むように


『…萌絵…ありがとう。』と

優しく慈しむように

彼は優しく私を愛してくれた。



そんな彼の唇の温もりと

滲み出る優しさに

「…うっ…うっ。」

堪えていた涙が溢れ出すと

『…泣かなくていいよ。
萌絵は俺だけのお姫さまだからね。』

と私の頬を優しく撫でながら

私に微笑んでくれた。


優しく溶け合うような

甘い時間を過ごした後も

彼は何度も

『…愛してる…ありがとう。』

と私の耳元で囁き

私の両肩に再び

何度も優しいキスをしてくれた。

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