あなたが作るおいしいごはん【完】

【押谷和亮Side】


俺の両親は俺が幼い頃に離婚した。

俺が一人っ子だった為に

親権をめぐって両親は

裁判でだいぶん揉めたらしいが

結果的に親父に引き取られた。


以来、親父と2人暮らしだった俺は

『大きくなったら
お父さんの会社を継いでくれ。
社長になってくれ。』

と、ずっと言われていた。

幼い頃は『パイロット』とか

色んな夢があったが

この頃の俺は

特に何かなりたいと思う夢が

あるワケでなく

親父の敷いたレールに従って

将来は必然的に親父が経営している

不動産会社に就職する事になり

高校も有名な進学校である

私立の付属高校へ行き

そのままエスカレーター式で

付属の大学に進学して

経営学を勉強するのだと思っていた。


しかし、中学2年生になり

【職場体験学習】の職種と希望先を

提出しなければいけなくなった時

…俺は…このままでいいんだろうか。

将来…俺は本当はどうしたいんだろう。

俺は親父の仕事を

本当にしたいんだろうか。

社長に向いているんだろうか。


などと、若干の迷いが出始めた。






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