あなたが作るおいしいごはん【完】

だからと言って

明確な答えは出てくれず

どうしたいのかわからず

誰にも相談出来ないまま

将来の夢は空中でぼんやりしながら

浮かんでいるだけだった。


友人からは

『…お前はいいよな?
既に進路決まってるんだから。』

と良く言われたが

そう言われて

何も言い返せない自分に

苛立ちを感じながらも

だからと言って

夢がぼんやりしているとも言えず

適当にかわすしかなく

【職場体験学習】の用紙も

提出期限が迫っているのに

何をしたいのか

どこへ行きたいのか

どうしていいのか

記入出来ずに悩んでしまい

段々迷路に迷いこむように

わからなくなっていた。




……まだこの時の俺は

自分が今のこの仕事に就くなんて

勿論……想像なんてしていなかった。



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