あなたが作るおいしいごはん【完】

……キ………キス!?


「…えっ…あの…その。」

『キスをしよう。』なんて

サラリと言われて顔が近づく事に

「…ちょっ…ちょっと待って!!
カズ兄ちゃ…じゃなくてカズさん!!」

こんな事は全く予想してなくて

いきなりこうなってしまった事に

戸惑って慌てふためき

彼の胸に両手を置いて

制止しようとした私。

多分顔は相当紅くなってると思う。


しかし、そんな私を

意地悪そうに微笑む彼は

簡単に私の両手を掴むと

顔を近づけながら口を開いた。

『…俺達は政略でも
きちんと婚約を済ませたんだ。
今後はキス以外
抱きしめる事はしても
入籍するまでの間は
萌絵を抱かないって事は
ちゃんと約束してるんだから
キスはいいだろ?………萌絵。』

その瞬間

私の名前を呼ぶ彼の声に

急に心を掴まれたような感覚がして

私は抵抗出来なくなった。

彼はそのまま私の唇を捉えて

『…2年後……萌絵と俺は
本当の愛が込められたキスが
出来るといいのにな……。』

と、切なげな声を含ませながら

抵抗しなくなった私の唇に



…そっと触れるだけの

優しいキスを落とした。







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