愛すと殺すと

恋に落ちて

◇◆◇◆


少しトイレに行きたかっただけなのに。


「…あー…これは参った」


まいったな。


所属しているバレー部の練習試合のために、少し遠い私立の中高一貫校に来ていた僕。

トイレに向かおうとして、立派に迷子になってしまったのだ。



ここ、無駄に広いし、元が女子校だから男子トイレが少ない上に場所が変。

迷子になりやすい条件が見事に揃っていた。


(…誰かについてきてもらうべきだったか…)


今更な後悔をして、とりあえず日曜だから人っ気のない階段を登ろうと、



「…っ」



目を、奪われた。



階段を降りてきた少女が、とんでもない存在だったから。



太陽を七色に弾く白髪に、宝石みたいな青い瞳。
日焼けという言葉を知らないような真っ白な肌、外国人のような顔立ち。


何より、その見るものを魅了する独特な雰囲気。



全てが異端で、衝撃だった。
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