LOVEFATE~理由~

「――社長、ありがとうございます。

社長を困らせられなくて、
ごめんなさい」



変な言葉だな、
と自分でも思う




「ああ」


優しく頭をポンポンと叩いてくれる社長は、

何を思っているのかはよく分からないけど


その手から優しさが伝わって来る




「お前みたいに従順で扱いやすいと、
逆に扱いにくいもんだな。

最低な俺でも非道になれない」



社長はそう言うと、
口を閉ざした




それ以上は、
もう話し掛けては来なかった



会話が無くなり、

車内のその静けさに涙が込み上げて来る




誰かの前で私は涙は流さない



だから、必死で泣く事に耐える

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