LOVEFATE~理由~

俊ちゃんは黒いスーツ姿で、

俊ちゃんのスーツ姿を見るのは彼の成人式の時以来




成人式の時、
俊ちゃんのその姿がかっこよくて、

私は携帯電話のカメラでそんな俊ちゃんの姿を何枚も撮った




“英梨、恥ずかしいからあんま撮るなって”



“だって、俊ちゃんのこんな姿、滅多に見れないもん。
貴重だから”



“俺が働き出したら、
嫌って程見られるだろ?

出勤する俺の姿を毎朝向かいの窓から”



“えー、社会人になっても俊ちゃんは実家暮らしなの?

いくつまで親に甘えるつもりなの”



“兄貴だって、出て行かないじゃん。

俺だって、就職してもずーとこの家に居るんだよ”




あの頃の私と俊ちゃんはまだ、

ただの幼馴染みの関係だった



だから、そんな言葉を言いながらも、

ずっとあの家に居て欲しいと思っていた



近くに住んで居ないと、
その関係が切れそうで怖かった



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