LOVEFATE~理由~

俊ちゃんはゆっくりと私の方へと歩いて来ると、

私の目の前で立ち止まった




手を伸ばせば、
触れられる距離



こんなに近いのに、遠い





「――英梨、今日はカメラで撮るの勘弁だから」


そう笑う両頬にはえくぼがあり、

それは亮ちゃんには無くて俊ちゃんにはある



亮ちゃんと同じようにある笑った時に入るその目尻の皺も、

私は大好き




「あ、今日は、撮らないよ…。

成人式のあの時と違って、
今日の主役は俊ちゃんじゃないから」


そう笑い返すが、
目頭がジンと熱くなって来て、

涙が溢れて来そう




「英梨、久し振り」



「うん…」



会わなかったこの3年間



ずっと、俊ちゃんに会いたかった




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