LOVEFATE~理由~
「先、これ渡しておく」
倉木さんはテーブルの上に、
銀行の名前が印刷された封筒を置いた
それが何なのか、
確認しなくても分かる
「50万、用意した」
「そんなにかからないですよ。
それに、お金は自分でなんとかしようと思ってました」
産婦人科に行った際に、
中絶手術に必要な金額を聞いた
私はバイトやお年玉で貯めた貯金から、
出そうと思っていた
だから、倉木さんに費用を出して貰うつもりはない
「この金、親が俺に定期的に振り込んでくれてる金だから。
だから、俺が苦労して手に入れたものじゃないけど。
ほんの少しでも、俺に責任取らせて。
だから受け取って欲しい」
「――はい」
そう返事を返したけど、
じゃあ、と受け取る気になれない
その封筒を、ただ見つめてしまう
その中には、今の私には簡単に手に出来ない程の大金が入っているのに
なんの価値も感じない