刹那の笑顔

遼誠と決意



翌日



遼誠は暗い足取りで教室の前に立ち、扉を開ける。




開けるとみんなが扉の方を見て、遼誠と気付き、悲しそうな顔でしてまた元の状態に戻ってしまった。


遼誠も教室に入るなり、薄い期待を持ちながらある席を見たが、やはりいなかった。





そう、みんな……



坂下刹那を心の中で探してしまう。


今まで、刹那のことを気にしていなかったクラスメイトさえ、気にするほどだ。



いつものクラスメイトの1人が消えてしまったのだから、当たり前のことなのだが……



みんな、思っているのだ。


昨日のことが、嘘だと……。



電気は相変わらず、消えたまま。

冷たい風が、教室を吹き抜ける。

外は、冬だ。
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