tiny little bows



4月○日

今日は入学式!あー、ドキドキ。高校生楽しみ!

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短い。1日が短い。
僕は彼女の性格を思い出して納得した。
最初の何日かは誰々と仲良くなったなどの小さく細かいことが書かれていた。その後もクラスメートとの思い出が少しずつ書かれていた。
僕と白田桜は1、2年同じクラスだった。
僕の一番の女友達、といったら白田桜であったと思う。きっと彼女もそうだろう。多分、そうだったと思いたい気持ちもある。

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5月○日

ナミは髙橋 夏男のことがすきらしい!協力したいけどあまり話したことがない。髙橋夏男ってどんな人だろう、

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…そうか荒川 菜美は俺のことが好きだったのか。知らなかった。そしてまだ白田さんと仲良くなってないんだな。

そう思いつつどんどんページをめくった。

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5月○日

ナツからメールが来た。
ユーロの話をされたけど、わからなかった。どうやらサッカーみたい。
ナツは夜中にやる試合を見るらしい。起こしてくれるらしいけど…ホントかな

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お、とうとう俺の話か。懐かしい。

正直、この時僕は彼女を狙っていた。
顔は稀に見る美少女で小柄、話しやすく目立つ。それが白田桜という人物だ。
きっと彼女を狙っていた人は少なくなかったと思う。むしろ多かったと思う。それに彼女は気づいていなかった。

だけど俺は諦めたんだったよなぁ。白田さん、全く眼中になかったんだよな、多分。

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5月○日

変わったメンバーで遊んだ!むぅとそよとナツときっちとたまとうち。
すごく楽しかった!また遊びたい

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これまた懐かしい。

彼女の一人称はうちだ。
家では名前で言っているらしいが照れくさいのかうちと言っている。
そしてこの時に彼女のことを本気で諦めることになった。
彼女は同じクラスでは絶対付き合えないし他のクラスに好きな人がいる、と言ったのだ。ため息をついた思い出がある。

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6月○日

体育祭!新垣かっこよすぎて泣いた!(笑)楽しかった〜

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この新垣というのが彼女の好きな人だった。結局、白田桜と新垣はくっつかなかった。新垣に好きな人がいるという噂が流れたのだ。そして少し後にその前から新垣のことを諦めていたと僕は聞いた。

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6月○日

ナツに彼女が出来た!というよりサヤコおめでとう!お似合い!!

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あぁ。この時だったっけ。
僕は藤 爽子という彼女が出来た。
サヤコは姫と言われていたほど女の子らしくてとても華奢だった。僕はサヤコのことが好きだった。両思いになって付き合えたのはとても嬉しかった。
サヤコと白田桜は友達だった。部活が一緒だった。ダンス部だ。
その後、サヤコと僕は長く続いた。

とりあえずここまで読んで日記帳を閉じた。目をつぶって考えてみた。
白田桜…、彼女は日記を見ても僕の知っている人物であった。
そしてこの日記帳は何故僕の手に渡ってきたのだろう。偶然…なのだろうか。白田桜の母親は本当に適当な理由で僕に渡してきたのだろうか。今のところ、ただの高校生の日記としか思えない。

深く考えないようにしてしばらく眠りについた。

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