その男、イケメンですので。
「頭悪いなぁ、わかんないの?」

そんな私の思考を一瞬で停止させたのは、可愛い彼の一言でした。

「……え?」

自分の耳を疑う。
…可愛い顔に似合わない、ものすごく失礼な言葉が聴こえたような。

「海都、言葉には気を付けて」
「わかってるよー」

すぐに隣に居た、いかにもしっかりしてそうな感じのイケメンな男の子が注意するけれども。
可愛い彼のゆるい返事はなんとなく信用できません。

「ごめん、この人少し毒舌だからさ。悪気はないと思うから、許してあげてくれないかな」

なんて、イケメンくんに優しい笑顔を向けられちゃったらさ。

「だ、大丈夫です」

こう返事するしかない女子の心理。

「で、ここに連れて来られた理由。わかんないの?」

可愛い彼とバッチリ目が合う。
大きな瞳に吸い込まれてしまいそう…なんて、

「理由なんてひとつしかないだろ」

そんなロマンチックなことを考えている隙は無いみたい。

「ひとつ…ってことは…?」

腕組みをして壁に寄り掛かるもう一人の男の子は、気崩した制服が印象的で。
そんな彼に言葉の意味を問うと、

「ここは生徒会室なんだぞ?連れて来られた理由なんてわかりきってるだろ」

今度は彼の横に居た、可愛いというよりは美人な女の子が答える。
彼女は紛れもなく美少女、なんだけれど…雰囲気が少し怖い。
男の子っぽいその口調、気崩すなんてレベルじゃない程明らかに校則違反な制服は、きっと彼女が不良である証拠。

「つまりね、」

それでもわけがわからず立ち尽くす私の前に、またあの男の子が立つ。
いかにもしっかりしてそうなあのイケメンくんは、私の顔をじっと見つめてにこりと微笑んで。

「星野さんに、生徒会の一員になって欲しいんだ」

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