コイツ、俺の嫁候補。
「だってもう聞いちゃったから~!」

「お母さーん!!」



またヘルパーさんと話してると思っていたお母さんに背後から抱きつかれ、あたしは天を仰ぐ。

おばあちゃんは楽しそうに笑ってるし……やられた。



「何で聞いてんの~」

「いいじゃない! 言う手間が省けたし、これで隠し事はなくなったでしょ?」

「そうだけど……」

「後でたっぷり聞かせてもらうからね♪」



したり顔で笑うお母さんに、あたしはがっくりとうなだれた。

おばあちゃんはニコニコと笑いながらこんなとを言う。



「私はねぇ、縁の花嫁姿を見るのが今一番の夢なんだよ。だから早く叶えとくれ」

「えぇ~!? それはムリ! てか気が早過ぎ!」

「いいじゃない縁、おばあちゃんのためだと思って」

「んな無茶な!」



あたしをからかって楽しむ母と祖母。

もうー、二人して面白がってるんだから!



「あ、そうそう、お母さん最近薬飲むの忘れるんだって? ダメよ、ちゃんと飲まなきゃ」

「はいはい」



突然話を変え、おばあちゃんを注意し始めるマイペースなお母さん。

あたしはいまだに真っ赤だろう顔で、しばしふくれっつらをするのだった。


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