コイツ、俺の嫁候補。
あたしにはこれから進学や就職が待っている。

そして、いつかは結婚も。

そうなった時、おじさんの言う通り、お母さんは一人になってしまう。



「だけど、親子二人の生活に慣れちゃって、すごく心地良いから、そこに他人が入ってくることにどうしても抵抗があって……」



お母さんはお父さんのもので、あたしのもの。

お母さんを取られそうで嫌だ──

そんな子供じみた嫉妬があるから、あたしは素直に再婚を認められないんだ、きっと。



「健司おじさんはすごくいい人で、あたし達のことちゃんと想ってくれてるし。お母さんにも、お父さん以外に一緒に生きていきたいって思える人が、やっと現れたのに──」



ぽろぽろと涙がこぼれる。

那央の匂いがする白いシーツに、いくつも染みが広がっていく。



「それなのに、二人を祝福してあげられないあたしは、心が狭いよね……」



再婚を認めれば、すべてが上手くいくのに……

どうしてあたしはこんなに頑固なんだろう。

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