コイツ、俺の嫁候補。
あたしに必要なのは、新しい家族になるための努力──か。

那央が言ってること、すごくよくわかる。

お父さんとお母さんも、当たり前だけど他人だったんだもんね……。



「……うん、頑張ってみる」

「でも無理すんなよ? また何か悩んだら話して。俺はずっとお前のそばにいるから」



──トクンと、心臓が心地良い音を奏でる。

那央がいてくれると思うだけで、傷口にガーゼをあてがったみたいに、ちょっぴり心強い。


あたしの髪に顔を埋める那央の腕の中で、ゴロンと身体を反転させる。

ちゃんと向き合ったあたしは、涙を拭って那央を見つめた。



「ありがとう、話聞いてくれて」

「ん」

「……好き、だよ」



そんな恥ずかしいフレーズを言いたくなったのは、那央がいつもまっすぐ気持ちを伝えてくれるから。


クスッと笑った彼は、

「知ってる。俺もだから」

と言って、どちらからともなく唇を重ねた。



──静かにクリスマスの夜が更けていく。

あたしはとっても温かな胸の中で、完徹どころか、睡眠薬を飲んだかと思うくらいの安らかな眠りについたのだった。




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